診療案内
膠原病(こうげんびょう)とは、本来外敵から自分を守るはずの免疫が、間違って自分を敵と勘違いして攻撃してしまうことにより、様々な症状が出現する疾患です。関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、筋炎、血管炎などの病気が含まれます。症状としては、関節の痛み、はれ、変形、眼の乾き、口の渇き、指が太くなる、寒いと指先が白くなる、皮膚が赤くなる、熱が出るなどの症状が出現します。
膠原病の種類により治療法は異なりますが、自分の免疫が間違って働き過ぎている病気ですので、免疫を下げる治療が必要です。いわゆるステロイドと呼ばれる副腎皮質ホルモン剤を用いることが多いですが、丸顔になる、食欲が増える、骨がもろくなる、糖尿病や高血圧が出やすくなるなど様々な副作用が知られています。当院では極力ステロイドを減らせるように、免疫を下げる薬(免疫抑制剤)を初期から併用し、副作用を減らせるように努めています。
主な疾患と治療法
- 関節リウマチ
- 全身性
エリテマトーデス - シェーグレン症候群
- 全身性強皮症
関節リウマチは、30歳~50歳代に発症することが多く、肩、肘、手首、指の付け根の関節、指の真ん中の関節、膝、足首などがはれて、痛くなる病気です。はれが続くと、骨がどんどん壊されてしまい、指が曲がってしまう、箸が使えない、ペットボトルの蓋が開けられない、靴が履けないなどの症状が出てきます。とくにリウマチ因子や抗CCP抗体という検査が陽性であった方は、骨が変形しやすいとされており、早期からしっかりとした治療が必要です。治療としては、メソトレキサートという飲み薬が基本となりますが、その他にも抗リウマチ薬と呼ばれるものがありますので、体に合った薬剤を選択していきます。一般的な飲み薬で良くならない場合には、注射の薬である生物学的製剤や、免疫を下げる効果の強いJAK阻害薬(ジャックそがいやく)を使用して、病気を抑えていきます。
若い女性に多い病気です。熱が出る、関節が痛む、顔や日光に当たったところが赤くなる、口内炎が出来る、胸に水がたまるなどの症状が出現します。腎臓や脳に病気が出てしまうと、将来後遺症を残してしまう可能性が高くなりますので、早期に強力な治療が必要となります。病気が落ち着いていれば、妊娠、出産は可能であり、ほぼ今まで通りの生活を送ることも可能ですが、日光や過労で病気が悪くなることがありますので、生活習慣には気をつける必要があります。治療としては、免疫調整作用のあるヒドロキシクロロキンや、ホルモン剤の一つであるステロイド剤が基本となりますが、当院では早期から免疫抑制剤の併用を行うことで、ステロイド剤は減量、中止を目指して治療を行っております。当院では、ステロイド剤は約25%の方が中止できており、50%以上の方が5mg以下の使用で病気が落ち着いています。
中年女性に多いとされていますが、病気の発生は若い人に多い印象です。目が乾く、口が渇くという症状が出現します。症状が軽い方は自分が病気であることを気づかずに、生活されている方も多いと考えられています。病気が強い方では、関節の痛み、あごの下にある唾液腺が腫れる、熱が出るなどの症状が出現し、肺や腎臓に症状が出る方もおられます。乾燥症状のみであれば、点眼薬や、唾液の分泌を促す薬、人工唾液などで対処していく方針となりますので、眼科や耳鼻いんこう科への通院で問題ありません。ドライアイがひどい場合には、涙を排出する部位にプラグを埋めて、涙がたまりやすくする治療を行うこともあります。全身に症状が出ている場合には、ステロイド剤や免疫抑制剤が必要となる方もいます。
全身の皮膚が厚くなる病気で、最初は全部の指が腫れる、曲がりにくい、寒いと指が白くなる(レイノー現象)という症状が出現します。悪化すると、関節が痛くなる、胸焼けがする、息切れがする、むくむなどの症状が出てきます。皮膚が硬くなることを完全に止められる治療はまだ見つかっておりません。しかし硬さの程度を軽くできる可能性のある治療はあり、ステロイド剤や免疫抑制剤、リツキシマブという薬剤を使用して病気を抑えていきます。肺や心臓、腎臓にも病気が出やすい疾患であり、定期的に検査をしながら経過を見ていく必要があります。特に冬期は血の循環が悪くなることにより、指に傷がついたり、掘れてしまう(潰瘍)ことがあるため、一般的な保温グッズでうまくいかない場合には、血管を広げる薬を飲んだり、血の流れを良くする塗り薬を使用して、治療を行います。
診療実績
循環器内科 | 平成29年度 | 平成30年度 | 令和元年度 | 令和2年度 | 令和3年度 |
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関節リウマチ | 362 | 414 | 420 | 473 | 457 |
シェーグレン症候群 | 168 | 214 | 167 | 139 | 148 |
全身性エリテマトーデス | 97 | 117 | 134 | 130 | 127 |
混合性結合組織病 | 46 | 48 | 37 | 36 | 36 |
全身性強皮症 | 95 | 123 | 114 | 107 | 101 |
多発性筋炎/皮膚筋炎 | 53 | 61 | 91 | 89 | 97 |
血管炎症候群 | 53 | 63 | 65 | 68 | 83 |
抗リン脂質抗体症候群 | 28 | 30 | 24 | 23 | 23 |
ベーチェット病 | 28 | 31 | 22 | 22 | 25 |
脊椎関節症 | 34 | 39 | 30 | 30 | 32 |
合計(人) | 964 | 1,140 | 1,104 | 1,117 | 1,129 |
※病名は患者重複を含む数を集計しています。
スタッフ
紹介
佐々木 謙成ささき かねしげ
膠原病内科代表部長
- 免許取得年
- 平成14年
- 専門領域
- リウマチ / 膠原病診療全般
- 専門医・指導医・認定医
- 日本内科学会 内科認定医 / 総合内科専門医 / 日本リウマチ学会専門医 ・ 指導医 / 日本アレルギー学会 / 日本感染症学会
膠原病、リウマチ性疾患は、治療期間が長期にわたるため、医者と患者さんの信頼関係が非常に大切です。治療方針も患者さんの合併症、生活環境などにより大きく変わりますので、しっかりと話し合うことを大切にして、治療方針を決めていくことを心がけています。
渡辺 綾野わたなべ あやの
膠原病内科医長
- 免許取得年
- 平成26年
- 専門領域
- リウマチ / 膠原病診療全般
- 専門医・指導医・認定医
- 日本内科学会 内科認定医 / 総合内科専門医 / 日本リウマチ学会専門医
野田 遥加のだ はるか
医員
- 免許取得年
- 平成31年
- 専門領域
- リウマチ / 膠原病診療全般