リハビリテーション室理念と行動指針、取り組み
理念
私たちは患者さんのより豊かな社会生活を見据え、患者さんと協力し、質の高い、安全で安心なリハビリテーション医療を提供します。
行動指針
- 患者さんのニーズに沿った目標を立て、リハビリテーション計画を作成します。
- わかりやすい説明を心掛け、安心したリハビリテーションサービスを提供します。
- 定期的なリハビリテーションカンファレンスを行ない、チーム医療を実践します。
- 感染予防、リスク管理を徹底し、安全なリハビリテーション医療を提供します。
- 近隣の医療機関と連携を取り、切れ目のないリハビリテーション医療を提供します。
わたしたちの取り組み
入院直後の状態が安定していない時期からリスク管理を行ない、集中治療室や病室からリハビリテーションを開始することにより、合併症や廃用症候群を予防します。
機能回復、能力向上を目的にリハビリテーションを進めていき、早期に日常生活動作獲得を目指します。
継続したリハビリテーションが必要な場合、早期に自宅に帰れるように近隣の回復期病院と連携を取り、切れ目のないリハビリテーション医療を提供します。
施設基準
- 心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅰ)
- 脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)
- 廃用症候群リハビリテーション料(Ⅰ)
- 運動器疾患リハビリテーション料(Ⅰ)
- 呼吸器疾患リハビリテーション料(Ⅰ)
- がん患者リハビリテーション料
スタッフ構成
- 理学療法士...24名
- 作業療法士...11名
- 言語聴覚士...7名
- 義肢装具士...1名
理学療法について
理学療法 < Physical Therapy >
病気やケガ,寝たきりなどが原因で身体に障害を受けた人や障害の発生が予測される人に対して、主として機能低下の予防・改善や基本動作(寝返り・起居・端座位・立位・歩行)の獲得を目的に、機能訓練や日常生活動作の練習を行います。また、家庭や社会に復帰するための準備として、退院前訪問指導・生活指導・家屋改修など環境整備のための助言・指導,福祉制度の紹介などのアドバイスも行います。
集中治療室
手術後や集中治療を必要とされる方に対し、理学療法士が専門チームを作り、集中治療室にかかわっています。おもに身体の機能が低下しないようベッド上で運動療法を施行し、早期離床を促します。
また、呼吸障害など合併症予防・治療のため、肺や気道が痰で詰まらないように呼吸リハビリテーションなどを行っています。
新生児集中治療室
呼吸障害がある新生児に対して合併症予防・治療のため、肺や気道に痰が詰まらないように呼吸リハビリテーションなどを行っています。ストレスを最小限にし安定した睡眠が取れるように、ポジショニングしたり、音や光刺激から保護するなどの環境調整を行っています。また、小さく生まれた新生児を対象に、入院中から発達評価を行い、退院後もフォローアップしています。
心臓リハビリテーション
心筋梗塞や心不全、心臓手術後など心機能の低下した方を対象に、運動療法を中心としたリハビリテーションを提供しています。理学療法では、筋力トレーニングや有酸素運動、ストレッチングなどの提供ならびに生活をする上での相談を行っています。
呼吸リハビリテーション
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の息切れ軽減やADLの改善を目指して、専用トレーニング機器(MUSTEC)を用いた筋力トレーニングを中心に運動療法を行っています。
脳血管疾患
脳梗塞や脳出血、頭部外傷・神経難病などを対象としています。入院直後の急性期治療の段階からベッドサイドでのリハビリテーションを提供することにより、早期の離床を図って二次的な廃用性障害の発生を予防します。さらに歩行訓練やバランス訓練などを積極的に行っています。また、在宅へ向けての日常生活動作能力改善にも取り組んでいます。
運動器疾患
体幹・下肢の外傷や人工関節置換術、脊椎疾患を主な対象としています。クリニカルパスや手術後のリハビリテーションプログラムを活用し、受傷後や手術後の早期より理学療法を開始します。それにより機能改善を図ると共に、ベッドからの起き上がりや座位、立位などの基本動作や日常生活動作の練習を行っています。また、地域連携パスの活用も積極的に行なっています。
糖尿病運動指導
運動療法は、食事療法や薬物療法と並んで糖尿病の有力な治療手段です。なかでも有酸素運動や筋力トレーニングは有効といわれており、主に糖尿病教育入院患者さんを対象に理学療法室にてメディカルチェックをもとに運動方法を実践していただきます。また院内で開催される糖尿病教室でもその一環として運動療法についての講義を行っています。
チーム医療への参加
院内回診(呼吸サポートチーム、栄養サポートチームなど)に同席し、患者さんの回復の変化に伴い常に医師や病棟スタッフとの連携を図り、チーム医療としてリハビリテーションに取り組んでいます。
退院へ向けての取り組み
入院生活においても家庭や社会に復帰するための準備として、機能訓練に加えて日常生活動作訓練指導・退院前訪問指導・退院後生活指導や家屋改修などの環境整備のための助言・指導,福祉制度の紹介なども行っています。
退院前訪問指導では自宅に訪問させて頂き、家屋内外の段差や家具の配置などの状況把握をして住宅改修・配置換えの提案や自宅での動作指導・生活指導などを行います。
作業療法について
作業療法 <Occupational Therapy>
作業とは、人が行う全ての活動を指します。作業療法では、病気や怪我などにより、日常生活や社会生活に支障をきたした方が、再び自宅や社会に戻って活き活きと生活ができるように治療や訓練を行います。
脳血管疾患
脳卒中などにより、食事・更衣・排泄・入浴といった日常生活動作や、炊事・洗濯・掃除といった家事動作に支障をきたした方に対して、機能訓練や実際の動作訓練を行います。訓練を通じて身の回りの動作が出来るようになることは、自信の回復に繋がるので、退院後に安心安全に在宅生活を送っていく上では、欠くことの出来ないポイントになります。また、記憶や注意能力の低下、社会的な行動障害といった高次脳機能障害をきたした方に対しては、機能訓練や日常生活・社会生活におけるアドバイスを行い、家庭復帰や社会復帰に向けた支援を行います。
運動器疾患
交通事故や仕事での怪我、脊椎疾患により上肢や手指の機能に障害が生じた方などを対象としています。また当院では「手の外科」専門の医師による高エネルギー外傷や後遺症に対する機能再建術を行っており、そうした方へのリハビリテーションとして「ハンドセラピー」も提供しています。セラピストによる徒手的な治療、感覚障害に対する再教育訓練、実際の手の動作訓練、物理療法や装具療法なども併用し、生活や仕事上で実用的に作業が出来る手の再獲得を目指します。
呼吸・循環器疾患
慢性呼吸器疾患などによる呼吸機能の低下や心不全などによる心機能の低下により日常生活に困難さを生じた方を対象とし、呼吸の方法や安楽に行える動作の指導、具体的な日常生活動作の訓練や環境・道具の提案などを行います。
その他疾患
がんや消化器・内分泌疾患等の入院で臥床傾向の方(廃用症候群など)に対し、運動や日常生活動作の訓練などを行います。また乳がん術後の機能訓練や日常生活動作の指導なども行います。
チーム医療への参加
認知症せん妄サポートチーム(DDST)
認知症患者さんの中には、症状のつらさに加えて、入院による環境変化がストレスとなり、不安や苛立ちを感じる方も多く見えます。DDSTは多職種で構成されるチームで、これらの症状を一刻も早く改善させるための支援を行っています。作業療法士は、環境調整や症状に対する対応方法のアドバイス、安楽な姿勢の提案などを行い、また、院内デイケアなどでの作業活動を通じて、患者さんが安心して療養できるよう、日々取り組んでいます。
言語聴覚療法について
言語聴覚療法 < Speech Therapy >
脳卒中をはじめ、様々な理由により話す・聴くなどのコミュニケーション障害や食べ物をうまく飲み込めない、ムセるなどの症状が見られる摂食・嚥下障害などに、専門的な視点でよりよい生活が送れるよう治療や訓練・アドバイスを行います。
コミュニケーション障害
脳血管疾患、腫瘍などにより、話す・聴く・読む・書くといった言葉が障害される失語症や、麻痺や器質的な問題で呂律が回らなくなったり、声が出にくくなったりする構音障害・音声障害など、円滑にコミュニケーションを取ることが困難になった患者さんに、原因を分析し機能回復を促す訓練を行うと共に、ご家族など患者さんと関わる人々へ、より良いコミュニケーション方法の提案を行います。
摂食・嚥下障害
脳血管疾患・腫瘍・呼吸器疾患・加齢などにより食事がスムーズに食べることが困難になった患者さんへ、原因を分析し摂食・嚥下能力の改善に取り組み、安全に口から食べられるよう食形態や食べ方の工夫など様々な方法を提案します。
対象疾患
失語症を始めとする高次脳機能障害、構音障害、摂食・嚥下障害、小児期のことばの障害など各種検査とリハビリテーションを行います。
チーム医療への参加
摂食嚥下支援チーム(SST)
医師、歯科衛生士、管理栄養士、薬剤師など他部門と連携し多角的な視点で、患者さんにより良い摂食・嚥下環境を提案させていただいております。
栄養サポートチーム(NST)
院内回診に同席し、常に医師・病棟スタッフ・看護師その他関連スタッフと連携を取り、言語聴覚士として摂食・嚥下能力のアセスメントをはじめ専門的な立場からより効果的に栄養が摂れる方法の提案・リハビリなどを行っております。
義肢装具士について
装具ギプス室にて義肢装具に関すること、ギプスに関することを行っております。
義肢装具士は医師の指示のもと治療などに必要な義肢、装具の採型・製作・適合、修理調整を行います。また各種固定帯や既製品のサポーターなどを患者状況に合わせてご提案させていただきます。また当院の技師は柔道整復師の免許も持っているため、骨折や腱の損傷などの固定を必要とする際に、ギプスなどの固定材料を用いて患部の固定・調整を行います。必要に応じ取り外し可能なギプスシーネや継ぎ手を使用した簡易的な装具を作成します。